
白と瑠璃の妖艶。いっちんシリーズ不思議な魅力
皿や鉢に水滴のような小さい突起物が連なっているのが、いっちんシリーズです。「いっちん」とは、普通、絵の具を盛り上げるために使う古くからある陶芸技法の一つですが、北村は、絵の具ではなく、なんと粘土を無作為に盛り上げるために使いました。粘土を柔らかく練り、生クリームを絞るように模様をつけていくという全く新しい技法で、広大無辺な世界感をも連想させる独特の作風を確立しました。
水滴のようにも、星のようにもみえるつぶつぶは、すいこまれて いくような深遠な世界観を感じることができます。
艶やかな色絵の多い九谷焼とは全く違い、実にシンプルなつくりでありながら、どれひとつとして同じデザインのものは全くありえないという不作為性の不思議さ。
一つ一つ、水滴のようでもあり星のようにも見える模様は、作品に気品と動きや水みずしさを演出しています。瑠璃のいっちんは特に、奥深い世界観を感じることが出来ます。吸い込まれていくような深い瑠璃に立体的なつぶつぶが浮き出したように連なっているその様子は、銀河宇宙の星々の一部を、のぞき窓から覗いているような錯覚にとらわれます。
形も、どこにでもありそうでいてどこにもない。和でもなく、しかし洋でもない。
角鉢のかたちなどの作り方などは、いっちんと同様不作為です。1枚の粘土の板をたたいてこの形をつくりますが、焼く前の形はもっとびしっとした角でも、粘土というのはもとの形に戻ろうという力が働き自然に緩んできてこんな形になるのです。この無作為な「かたち」の面白さが人為的ないやみが全くない自然な完成度をかもし出しているのでしょう。
同じ形の皿を、白と瑠璃をふたつ並べて眺めた時に感じとれる気品は、妖艶でさえあります。
電子レンジでも全く問題がありません。普段使いの食器としてどしどし使うことをお勧めします。
普段使いの食器としてどしどし使える
かといって、このいっちんシリーズはただ飾っておく器ではありません。実に実用的な「食器」としての1面もあります。派手な色合いの多い一般的な九谷焼と違いシンプルですから、どのような食材を盛っても引き立ちますし、絵付けも高温の本窯の火をくぐってきているので、電子レンジでも全く問題がありません。いつも使っている食器と同じように、なんにも気にせず、普段使いの食器としてどしどし使うことをお勧めします。
楕円鉢 瑠璃/白地いっちん角皿、いっちん角鉢、いっちん楕円鉢の三種類かあり、それぞれ、白と瑠璃の2種類から選べます。もちろん一皿一鉢個別に求めることは出来ますが、このいっちんシリーズに関しては、白と瑠璃は組にして揃えておくことをお勧めします。なぜなら、白が瑠璃を引き立て、瑠璃が白を引き立てるからです。
いっちん技法の確立には8年かかった
友人が結婚する時に、九谷焼でもシンプルな九谷焼を作ってくれと言われました北村は、かねてより、九谷の優しい生地の白さと、粘りのある粘土の特性を活かして作品をつくりたいと考えていたので、粘土を柔らかく練り、生クリームを絞るように無作為に模様をつけていくという全く新しい技法で引き出物も制作し、友人にたいへん喜ばれました。
普通「いっちん」というのは、絵の具を盛り上げるのに使います。本窯で一気に焼き上げ、どろどろの陶石をこのいっちんの技法で、生地に一体化させる手法は北村が考え出したものです。無作為とは言え、所詮人がコントロールするもの、それこそ無作為に飛び足す、どろどろの陶石を縦横無尽にコントロールするのには長い歳月がかかりました。自分の思い通りのものができるようになるまで、8年の歳月が必要だったのです。










