
表面の質感・金の輝きが映える
重ね塗り手法の「黒彩」
この杯の内側の金色の光沢に深みがあるのは、水金(金色の絵の具)ではなく、純度99%の本金を塗って上げているからです。水金だと年月がたつと表面に油膜か出て黒ずんできます。本金は本物の金です。金は錆びないのが特徴ですから、いつまでたってもこの輝きが失われることはありません。杯の中にあしらわれているワンポイントの桜が、金色の光沢の妙を一層引き立てています。
また、この杯の表面は、他の焼き物でもあまりみない底の深い色合いが施されています。よく見ると、とてもたくさんの色が使ってあり、深淵で実に神秘的です。個々の技法は下地の凹凸や表面の色・金・黒、すべて九谷焼の上絵の技術を使っていますが、全体としての手法は、北村が独自に作り出した新しいものです。これは、「黒」に「彩る」と書いて「こくさい」と読みます。一度下地に黒を塗り、そこから色を重ねていくことから北村がこの名前をつけました。

ワンポイントの桜が、金色の光沢の妙を一層引き立てています。
いろいろな色を、重ね塗りする手法「黒彩」。印刷では、黒にも、黒地にいろいろな色の重ね合せによるどっしりとした深い色合いになる「リッチブラック」があり、赤色に黄色を重ねることにより艶のある色合いになる「金赤」があるように、何度も色を焼き重ねていくことでの色の深み、表面の質感・金の輝きが映えるという、北村独自の焼き物の重ね塗り手法が「黒彩」なのです。
九谷焼の絵付けを施すと、純和風になってしまうものですが、九谷焼の技法を駆使しているにもかかわらずこの杯は純和風にはなっていません。内側の本金の重厚な輝きと、重ねて塗られたさまざまな色合い、スカタイリッシュなかたちが、それぞれ調和されてしっとりとおちついた気品を感じさせてくれます。
純金製の器をイメージして作られたこの杯を、大切な記念日や、豪華に楽しみたい日、こだわった贈り物など、日々の生活を豊かに彩る小道具として、本物の金の輝きと、黒彩の深みを楽しんでほしいと思います。





