
古九谷・色絵の様式を受け継いだ逸品
現在の九谷焼は、原点である古九谷から現在にいたるまで、さまざまな様式が発展し、いろいろな陶土・絵の具・技法が使われています。ですから今九谷焼の業界人や専門家の方たちに、「九谷焼の定義とはなにか?」と問いただしたとしたら、おそらくはっきりと答えられる人はほとんどいないだろうと思います。
答えを探すとしたら、広義では古九谷のすばらしさに感動した加賀の人々によって作られた陶磁器。狭義では、古九谷で使われていた五彩の絵の具と陶土を使った加賀の磁器ということとなるでしょうか。

くみ出し茶碗の描かれた様式は、まさに、この古九谷・色絵の様式を受け継いだもので、古九谷、そしてそれを再興した吉田屋の流れを受け継いだ雪山窯が、長くこだわり続けてきた様式です。絵柄のひとつひとつから、磁器としての気品や、古九谷から脈々と受け継がれ洗練されてきた意匠の匠を感じていただけましたら、こんなにうれしいことはありません。

触ってみて、使ってみないと
作品の良さはわからない。
器を使って割れた、欠けた。器なのですからこれは当たり前です。これを恐れるあまり、桐の箱に入れたままにして、食器として使ったことがないというのは、その作品の良さを半分以上知らずにいるということで、実にもったいないことだと思います。例えるなら、新車を買ったけど道路を走ったことがない。カメラを買ったけど写真を撮ったことがないということと同じことではないかと思います。器を両手で包み込むように触ってみなければ、そして実際に食材を盛ってみなければ、その作品の器としての良さはわかりません。人間の五感を全て使って楽しめるものは焼き物くらいしかありません。食材を盛ってみて、初めてわかることがあります。私のつくった角皿を、普段は自宅でも使い、「My皿」としておすし屋さんに持ち込み、いろいろなにぎり寿司を載せては楽しんでいる方がおりますが、同じ皿でも食材によってそのつど趣が変わります。日曜日だけでもいいですから、しまっておかずにどんどん使ってほしいのです。私は、最終的には、作品の持ち主が喜んで器として使っていただいているというのが目標です。「越田さん、この器とてもよかったわよ」と言っていただけるのが何よりも嬉しいのです。押入れの中で眠ってしまうのではなく、生活に根付いた器として使っていただけることが一番ありがたいことです。工芸は、触ってはいけない、近寄ってはいけないという美術作品とは違うものです。








