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使えば使うほど手になじんでくる湯のみ

佐藤 剛 夫婦湯のみセット 秋桜
手の中で自由自在に形を変えるやわらかい土の温かさを表現したいと思っています。両手で包み込むようにこの茶碗をさわってみてください。ぴったりと吸い付くように手になじむフィット感が感じられるはずです。使えば使うほど手になじんでくる湯のみ。
少し大きいものと、少し小さいものがセットになり、いずれもコスモスが描かれていますので、夫婦でお使いいただければと考えています。
絵付けに使っている絵の具は独自に調合したこだわりの呉須(磁器の染め付けに用いる鉱物質の顔料)や、独特の渋い赤の色合いが特徴の釉裏紅を使っています。他にも、あたたかい味わいの黄茶色もありますが、これらの色合いは、窯の温度の低い絵付けの窯とは違う、温度の高い本窯で仕上げられる渋い色合いにこだわった、長年の研究重ねて出来た佐藤オリジナルの色です。
コスモスの葉は、スポイトで絵の具を描く一発勝負のイッチン技法で、コスモスが風で揺れている情景を表現したかったのです。
器の持つあたたかさを感じながら、夫婦で普段使いのできる湯のみです。
絵にいきいきとした生命を吹き込む
ラデーションによって、生き生きとした躍動感が生まれる一般的な九谷焼の色とりどりの鮮やかな絵付けは、下書きをしてそこに塗り絵のように重ね描きをしていく手法ですが、温度の高い本窯で使える絵の具は限られていて、呉須、釉裏紅などの絵の具があります。いずれも、渋い深みのある色合いが特徴ですが、もうひとつ、筆の軌跡がそのまま残ってしまうという特徴があります。つまり、水墨画のようなやり直しのきかない一発勝負の世界です。しかし、逆にこれが筆の運びでグラデーションを表現できることとなり、花や葉などのモチーフに新たな命を吹き込むことができるのです。
やり直しがきかないので、線に勢いがあり、太い筆で書いたもののグラデーションにも生き生きとして躍動感がでてきます。
これが、付立画法と呼ばれる手法で、原稿を読み上げるだけの演説より、原稿なしでアドリブを交えながら話す演説の方が感銘深いのと同じように、一発勝負の緊張感で描かれた線は、いきいきとして伸びがあります。
手になじみ、持ちやすく、口当たりが良いことが大切
食器ですから、生活にとけこんだ器、使っていただける器であることが必要です。そのためには、絵よりも、形ありき。手になじみ、持ちやすい、口当たりが良いということが極めて重要です。器は、飾るものではありません。生活の中で使い込んでこそ、器としての価値が出てきます。
そしてなによりも、手の中で自由自在に形を変えるやわらかい土の温かさを表現したいと考えています。器の持っているあたたかさが心を和ませるということをイメージして、星の数ほどある陶芸用の中から自分の絵にあった土を探し続け、このあたたかさを表現できる土を探しあてました。それは磁器の土ではなく陶器の土でした。
古九谷は磁器だったから、陶器は九谷焼ではないなど、九谷焼の定義があれこれ言われていますが、磁器でなければ九谷焼ではないということではなく、いい器を作りたいとい350年の伝統に裏打ちされた情熱そのものが九谷焼ではないでしょうか。
自分で形をつくり、自分で絵をつけるのが醍醐味
好きな形を自分で頑固に造りつづける形を手作りし、手書きで絵を付けるという、全部自分で一貫して作品をつくるということをコンセプトにしています。
24歳まで普通のサラリーマンをしていましたが、どうしても九谷焼をやりたいと考えこの世界へ飛び込みました。そして、九谷焼技術研修所や水墨画を習いながら、独自の陶芸の世界を追及し続けてきました。
実は、九谷焼というのは、形を作る人と、絵を描く人とがほとんどの場合分業化されています。この分業の進んでいる九谷焼業界でおいても、頑固に、好きな形を自分でつくって、それにあった絵を自分で描いています。これこそが陶芸の面白さであり、醍醐味です。
最終的には、使っている人が喜んで使っていただけるというのが目標で、「佐藤さん、この器、とてもよかったわよ」と言っていただけるのが何よりも嬉しいのです。押入れの中で眠ってしまうようなものではなく、生活に根づいた普段使いの器を作りたいと願っています
深い青紫の色合いを出したい
現在、自分で調合した釉裏紅という絵の具の色の探求をしています。
釉裏紅とは、独特の渋い赤の色合いが特徴ですから青の色はできません。しかし、ある時、いろいろ試行錯誤する中、失敗作でたまたま、深い青紫を出す事に成功しました。この際はたまたまでしたが、これを安定して出す事が出来ないかと考え取り組んでいます。この深い青紫ができれば、もっともっと表現力を持つことが出来るのではないかと思っています。この深い青紫を安定して出すことができたなら、この色にあった土づくりから始めて、新たな作品づくりをしていきたいと思っています。
■注意
・直火、オーブン等での使用はしないでください。
・太陽光線等に長時間さらしておくこと、湿度の高い状況下におくことは避けてください。
・タワシ、みがき粉の使用は避けてください。

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